話の食い違いがないように

様々な相談を受けさせてもらっていると、同じ言葉でも私と相談者では違う意味で捉えているなぁと感じることがあります。一番多い例が「相続放棄したい」です。相談者の頭の中で思い浮べているのは「被相続人の財産は何もいらない」という意味でお話されています。しかし、私のような法律を仕事にしている身からすると「相続放棄したい」といってまず最初に思いう浮かぶのは、民法938条に基づいて行われる家庭裁判所への相続放棄の申述です。

これと同じような話で最近あったのが、「会社が解散してしまっている」というお話。相談者からするともう会社がなくなってしまって何もできない、と思っているかもしれません。しかし、私たち法律専門家からすると、会社が解散してしまっても、原則として清算結了するまでは法人格は消滅しません。要は解散しただけではまだ会社自体はなくなっていない、と最初に思い浮かぶのです。ただ、よくよくお話を聞いて登記簿を調べてみると清算結了していることがほとんどなのですが。

このように同じ言葉でも当事者によっては把握している意味が異なることは相談時だけではなく、日常生活においてもよく起こりえます。特に相談時においては当たり前に思っていることでも、「このような意味ですか?」と確認することを意識しています。

目次