相続財産清算人を経験して

亡くなった方に相続人がいない場合、相続財産はどうなりますか――事務所での相談や各種相談会でよくお受けする質問です。この質問に真正面から答えると、「法人になります。」です。民法第951条に「相続人のあることが明らかでないときは、相続財産は、法人とする。」と規定されています。
は?ですよね。要するに相続財産を株式会社と同じように法人として扱いますよ、という規定です。そして、法人として存在するだけでは、何もできないので、裁判所にお願いして財産を管理する人を選任してもらうことになります。この裁判所に選ばれた人を相続財産清算人といいます。
2023年の夏頃、私もとある案件において相続人がいらっしゃらない方の相続財産清算人に選任されました。そして、2024年の秋頃、無事に業務を終えることができました。実は、司法書士として機会があれば関わってみたい業務のひとつが相続財産清算業務でした。地方では司法書士も相続財産清算人に選任されることはよくあるのですが、都市圏において司法書士が選任される例はあまり多くないと思います。そういう意味で貴重な経験をさせて頂きました。備忘録もかねてこれから経験したことを書ける範囲で残していこうと思います。