後見と利益相反

 少し前のことになりますが、臨時保佐人に選任され職務を行いました。

 遺産分割協議に関わる事案で被相続人は夫、相続人は妻と子の2名です。通常ならば、妻と子が遺産分割協議を行い預金の解約等の相続手続を行っていくことになります。しかし、本件は妻に保佐人、子に後見人が就任しており、しかも妻の保佐人と子の後見人が同一人という少し珍しい事案でした。

 後見人は被後見人の利益を考えて遺産分割協議をする必要があります。保佐人も同じく被保佐人の利益を考えて同意権及び代理権を行使する必要があります。同一人の後見人・保佐人にとってはあちらを立てればこちらが立たず、という関係になってしまいます。少し難しい言葉ですが、双方の代理人として遺産分割協議を行うことは利益相反行為に該当し、代理権がないのに代理行為を行ったことになります。(均等に分ければ、利益相反にならないのでは?と思われるかもしれません。これについては有名な判例がありますがここでは省略。)

 このような場合、家庭裁判所に手続を行い、被後見人・被保佐人のどちらか一方に別の方を選任してもらい、その方と遺産分割協議を行うことになります。

 被後見人に選任される場合は「特別代理人」、被保佐人に選任される場合は「臨時保佐人」と用語も区別されています。本件、妻と子のどちらに代理人を選任するべきか?被保佐人に関して同意権行使の場合はどうなるのか?候補者に私を推薦した場合、選任されるのか?等調べるポイントが複数あり新鮮でした。

 選任申立から1か月かからずに審判が下りたため、比較的スムーズに相続手続を終えることができました。

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